アップル板橋練馬環七店

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2009/08/03 (月) 15:34

劇団四季の俳優さんがいらっしゃいました!

 低く黒い雲が来て雨が降ったかと思えば、高く白い雲間に青空が覗けるほど晴れもする。晴雨定まらぬ、ある7月下旬の午後。店舗建物に隣接する車輌置場にて、洗車の最中であった。折りしも、降り出していた雨が急に激しさを増し、車輌置場のトタン屋根を、せわしない雨音で賑わせ始めていた。


 突然、雨音を貫くように、澄み切った女性の声が響く。


「すみませーん。」


「はい!いらっしゃいませ。」


 振り向くと二人の女性が、それぞれに紙袋を下げ、傘をさして、微笑みながら立っている。商売柄、まず車を確認しようとするも、彼女達の背後に車は無い。歩いて来たようである。


 スーツ姿の女性が二人。このパターンは、生命保険の勧誘か、雑貨の販売であろうか?それにしても、美しい。立ち姿がきちんとしている。紺やグレーではなく、淡く華やかな色彩のよそおいは、普通の営業職では無いようだ。高貴な感さえある。只者ではない。


「劇団四季と申しますが。」


「えっ!?・・・あの有名な。」


 劇団四季といえば、そういうものに疎い私でさえ知っている。それが、何故、このアップル板橋環七店に??


「今、より多くの方に知って頂くために、ポスターを貼らせて頂くことをお願いして、まわっているのですが、よろしいでしょうか?」


 そう言いながら、「キャッツ」の紙袋から取り出して示されたのは、「南十字星」というミュージカルのポスターであった。気が付けば、もうひとつの紙袋は、「ライオンキング」である。


 その美しい姿態と、澄んだ声に、恍惚としてしまい、まるで魔法使いに魔法をかけられたように、頭の中が混乱する。これは、※メダパニをかけられたか?


 混乱しながらも考える。弊店にも、いろいろなお客様が来店されるので、主義主張を唱える政党などのポスターは不味いが、演劇は芸術的・文化的なものである。全く異業種であり、不快感を抱く人もおらず、なおかつ有名で、お客様との話の種にもなるであろう。なにより、私は芸術的なものを好む。


「かまいませんが、外ではご覧の通り、ポスターが雨に濡れてしまいます。店内の方が好いかも知れません。」


「本当ですかー!ありがとうございます。」


 香水の香りが鼻腔をくすぐる距離から、笑顔でお礼を言われると、あまりの魅力にクラクラしてきた。魔法で虜(とりこ)になってしまいそうなので、彼女達が店内でポスターを貼っている間、外でまた洗車を続ける。


「終わりましたー。ありがとうございました。」


 名刺を頂く。俳優のかたと、広宣部のかたであった。彼女達が店を出ると、雨は小降りになっていた。遠い空は既に明るく、晴れているようだ。彼女達は、去って行った。


 そうであろうとは思っていたが、やはり、俳優さんであったか。凡人の私をして、只者ではないと感じさせ、圧倒する存在感。単に容姿端麗なだけではない。立居振舞や声が、別段、女らしさを武器に媚びている訳ではないのに、魅力的なのである。本物とは、かくあるものなのか・・・・・・。


 雨と共に来りて、雨と共に去りぬ。なかなか魔法の解けない私は、空を仰いだ。



※メダパニ:ゲーム「ドラゴンクエスト」において、相手を混乱させる呪文。

2009-08-03 15:34:30