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2009/07/05 (日) 22:53
連載小説 プレリュード 第一話
連載小説 プレリュード
第一話
暗澹(あんたん)とした雲に蓋(ふた)をされた、古びた校舎に囲まれた中庭で、僅かに褐色の葉を残した木々が寒い。四限の講義中の為、学生達の喧騒も微弱である。遠く国道246号を走る車の音さえ、乾いた空気を伝播し微かに私の鼓膜を震わせていた。
五限が始まるにはまだ時間がある。私は一人、中庭の中央にある「軽食・喫茶パオ」で一服する事にした。